アブソコーダの動作原理

エヌエスディの位置検出センサであるアブソコーダ®は、独自の原理・構造を持つアブソリュート方式のエンコーダです。原理的・構造的に耐環境性能に優れており、過酷な現場でも安心してご使用いただけます。
アブソコーダは、機械の変位量を検出する検出部と、その変位量を電気的に処理して出力する変換部で構成されています。

特長

1.高い信頼性
位置検出の原理がアブソリュート方式なので、電源断や偶発的ノイズがあっても、正確に位置を検出できます。
2.抜群の耐久性
検出部の内部は非接触構造なので、抜群の耐久性を持ちます。
また、振動・衝撃・温度・油・塵埃など、悪環境でも問題ありません。
3.フレキシブルな対応
アブソコーダは検出器、センサケーブル、変換器・コントローラの3点を組合わせて使用します。検出器は取付ける機械に合わせて、変換器・コントローラは上位機器が必要とする応答速度やデータ形式に合わせて変更できます。組合わせを変えることで、様々なニーズに対応できます。

回転型アブソコーダの基本原理

VRE 1回転型アブソコーダ

アブソコーダの原理図(図.1参照)のように、ステータの4つの極にコイルが巻いてあり、a sin ωt と a cos ωt を入力します。このとき各極と偏心して取付けられたロータをθ回転させると、4つの極の総出力として k sin(ωt-θ)が誘起されます。入力の a sin ωt と出力の k sin(ωt-θ)を比較してθを取り出すことにより、回転角度θをアブソリュート値で出力します。

VRE 1回転型アブソコーダ

図.1 アブソコーダ原理図

1回転型アブソコーダ検出器(=VRE)の構造図

MRE 多回転型アブソコーダ

上記で説明した1回転タイプのセンサを2個内蔵し互いに n:n-1 のギア比で連結します。このため2個のセンサの同じ位置の組合せはn回転までの全域で1点しかありませんので、VRE1とVRE2の角度の差より何回転目かがわかり全域をアブソリュート値で出力することができます。(図.2、図.2-2参照)

図.2 多回転型 MRE-32SP□(32回転型)

図.2-2 多回転型 MRE-Gタイプ(64〜2560回転型)

直線型アブソコーダの基本原理

VLS 直線型アブソコーダ 1本ロッド、CYLNUC シルナック、
Inrodsensor インロッドセンサ

直線型アブソコーダ(=VLS)の原理はVREと同じです。但しVRE1回転(360°)がVLSの直線距離1ピッチに相当します。VLSは原理図のように、直線方向に等ピッチで磁性体と非磁性体が連続して並ぶようにロッドを構成しています。このロッドと同心上に1次コイルと2次コイルが巻いてあり1次コイルに a sin ωt と a cos ωt の入力を与えます。

このときロッドを1ピッチ内のXだけ移動させると、2次コイルに k sin(ωt-2πx/p)が誘起されます。入力の a sin ωt と出力の k sin(ωt-2πx/p)を比較してXを取り出すことにより、1ピッチ内の移動量Xをアブソリュート値で出力します。(構造は異なりますが、インロッドセンサも原理は同様です。図4参照)

1ピッチを越える場合は、ピッチ数を変換器またはコントローラ側でカウントする事によりロッド全長の位置を出力します。このピッチ数をカウントし値を出力する方式をセミアブソリュートといいます。

図.3 直線型アブソコーダ(=VLS)の原理図

図.4 インロッドセンサの原理図

VLS 直線型アブソコーダ 2本ロッド

上記で説明した同一長さでP1ピッチXnのロッドとP2ピッチX(n-1)のロッドを2本1組とすることで、L1とL2の差を検出することによりピッチ間を越えた領域でもアブソリュート値を検出することができます。(図.5 参照)

図.5 直線型 2本ロッドタイプ(VLS-PWの場合)